「障害のある人のアートと著作権に関するセミナー」 第1回 レポート

2月19日、アートスペース上三条 にて第1回を開催しました。

はじめに弁護士の田中啓義さんより著作権についてお話いただきました。
・著作権は思想又は感情を創作的に表現したものであって、文学、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの。
・文化発展のため著作権を保護する事は重要であり、誰もみだりに権利を侵害されてはならない。

これまでなんとなく取り扱いには注意が必要なイメージでしかなかった著作権ですが、田中さんの講義によって一気にクリアな言葉として理解する事ができました。また、著作権と所有権の違いについての話や、二次的著作権の事、事業所で創造されるアートの取り扱いについての話など、このセミナーならではの専門的な内容を聞く事ができ、これまで気になっていた事が納得にかわったり、意識できていなかった著作権の保護について少しなりとも認識できたように感じました。

田中さんの端的な講義の後、たんぽぽの家スタッフより、アートセンターHANAについての説明と障害のあるメンバーの活動状況、そこで生まれた制作物、表現物の著作物をどのように取り扱ってきたかの話がありました。著作物をそのまま作品として取り扱う場合と、イメージを取り入れながらデザインを加えグッズ制作をする場合、オリジナルプロダクトの生産活動としての作業を行う場合のそれぞれの手当の割合について、そして日々の利用者の活動工賃の賃上げ向上を目指している事による手当の設定の現状まで。著作物を使用、販売する際にあたっての契約書の制作方法についてもたんぽぽの家で実際使用している書類を例に取り上げて説明がありました。田中さんより、契約書に関して著作者へ支払われ る割合についてのご指摘、契約書に記入している内容の解釈についての確認、内容を改めるべき部分についてのご指導をいただくこととなり、とてもためになる贅沢な時間となりました。

重要な事は、本人の合意ができているかどうかによるとの事で、よかれと思って本人の確認無しに行動する事は著作権を侵害している事になりえる事がわかりました。

参加者の方からの質問の時間では、

・ご自身の体験談について、著作権法を違反しているのか。

施設利用者の制作にあたって職員の関わる度合いによって二次的著作物にあたる事があるのかどうか。

所有権と著作権との間に生まれるコピーの問題についての投げかけ 

など、さまざまな視点から質問や意見が飛び交いました。あっという間にセミナーの終了時間になり質問タイムが切り上げられましたが、参加者の方からの意見や質問はまだまだあふれ出てくるような空気になっており、今回のような著作権についての専門的な内容のセミナーはもっと開催する必要があるように感じました。

*次回セミナーは、2月28日(日)、かしはら万葉ホール3階展示ギャラリーにて開催します。

*写真は、セミナーの様子と、田中弁護士。

(レポート:「障害のある人のアートと著作権に関するセミナー」スタッフ田中清佳)

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