[レポート]オープンアトリエ報告会 

たんぽぽの家では障害のあるなしに関わらず、誰もが気軽に参加できるアートワークショップやアートスペース「オープンアトリエ」を実施してきました。
今年度は、奈良県内4つの地域で、その地域にある福祉施設と連携しながら、2016年9月からオープンアトリエを企画運営しました。
そして、1月12日に協力してくれた福祉施設の職員さんを招き、それぞれの取り組みを振り返る報告会を開催しました。オープンアトリエの成果や課題、今後の展望について話し合う企画となりました。

参加してくれたのは次の4つの施設です。
社会福祉法人 大和会 大和高原 太陽の家
社会福祉法人綜合施設 美吉野園 吉野学園
社会福祉法人 いこま福祉会 かざぐるま
社会福祉法人わたぼうしの会 Good Job!センター香芝

 


太陽の家では、「あるがまま そのまま」をテーマに多様な講師を招いて、身体表現や音楽、ペインティングといったさまざまな表現にチャレンジしました。コンテンポラリーダンスのダンサーや画家に加えて、地元のコーラスグループも参加するなど、本当に多様な表現の場をつくることができたようです。
今後の展望としては、今回は関心のあるスタッフが中心となったけれども、もっとスタッフの「こんなことやりたい」という声を拾っていきたいということです。また、とても興味深かったのは、廃タイヤとテープで太鼓をつくり、100円均一ショップで販売しているような綿棒をばちにして、音楽を楽しむ取り組みです。
今後、「わのわのわ」というネットワークをつくり、いろいろな人が共通の簡単なリズムを共有して、大きなイベントのときに集まれるようにしたいということです。

 

 

吉野学園では、「アートラボ・ヨシノ」と題し、福祉施設でのアート活動の進め方や展覧会の作り方を実地的に学べる連続講座を開催しました。
1回目は、長年福祉施設で美術講師をしているアーティストの水野浩世さんを招いて、「福祉施設にアートと取り入れること」をテーマにレクチャーを実施。2回目では、利用者も含めてのワークショップを実施しました。ふだん使わないローラーなどの画材に、利用者も職員も驚きがあったようです。3回目は、たんぽぽの家の吉永朋希さんを講師に、作品の選び方や展示の仕方を共有しました。
吉野学園のスタッフの水口さんは、これまでもセミナーや参加型展覧会などの研修に参加してくれています。そこで、昨年度の展示のワークショップを思い出しながら、ワークショップ以後も作品の入れ替えなども行ったとのことです。

 

かざぐるまでは、地元生駒市の素材である、竹を生かしたアートワークショップを実施しました。スタッフの阿曽さんは、今回、アートプログラムの企画から発信まで全体としてにはじめて取り組んだそうです。
そして、今回意識したのは、アートに関心のあるスタッフをこの企画に巻き込むことです。たくさんの人が来るお祭りで、竹を素材に誰でも楽しめるワークショップや、じっくりと竹を堪能できるプログラムなどを施設だけではなく、地元の竹林園などを借りて展開しました。
今回は、地域との交流が十分でなかったことや、日々の活動がどこまでワークショップに活かせたかという課題はありましたが、むしろ課題が見えたことで、今後はもっと改善できると思うとのこと。また、今後、もっと地域を巻き込める場をつくっていきたいし、施設の中でも取り組みを広げていきたいという展望が見えてきたとのことです。

 

Good Job!センター香芝では、昨年度開催した、オープンアトリエmirumiruを4回講座で継続し開催しました。
今回も、参加者に加えて、サポーターのニーズも高く、また障害のある人のアートの支援に関心のある人の見学などもありました。
Mirumiruで重視したのは、サポートしている人の関わりです。特に、一番関わりのある親御さんに向けて、どんな思いでアート活動をさせたいと思っているか、日頃感じている悩みや希望などもざっくばらんに話すことができるサロンも開催しました。
サロンで聞かれたのは、働いている障害のある人にとっても、月に1回でもアートの場があることで、楽しみとなり、生活のはりになるということでした。今後も、障害のある人、保護者、そしてアートサポーターがアートを介して交流できる場をつくっていきたいということです。

 

今後、こうした取り組みを各施設が継続していくためには、体制や費用面などで課題もありますが、どの施設からも前向きに取り組んでいきたいという声が聞かれました。
また、事務局としては、今後アートツーリズムのようなかたちで、奈良県内の自然や文化も楽しみながら、各地でアートワークショップも楽しめるような取り組みに展開できたらと考えています。

本事業の成果は、本事業の成果は「奈良県障害者芸術祭 HAPPY SPOT NARA 2016-2017」の報告展「オープンアトリエ・ドキュメント」の一部として展示・紹介します。
また、会期中の2月12日に協力いただいた施設の施設長や、担当スタッフとのトークプログラムを開催し、成果や課題について話し会いたいと思います。ぜひ、この機会にご参加ください。 (レポート:森下静香)

 

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「オープンアトリエ・ドキュメント」参加施設の施設長、担当職員の方によるフリートーク

□日時:2017年2月12日(日)14:00~15:00
□場所:奈良県文化会館 展示室
□参加予定施設(敬称略)
社会福祉法人 大和会 大和高原 太陽の家  施設長:大久保 浩  スタッフ:山浦庸平
社会福祉法人綜合施設 美吉野園 吉野学園 施設長:前田 浩  スタッフ:水口正憲
社会福祉法人 いこま福祉会 かざぐるま 施設長:高曲友理子  スタッフ:阿曽麻里生
社会福祉法人わたぼうしの会 GodJob!センター香芝 センター長:森下静香  スタッフ:藤井克英
進行:社会福祉法人わたぼうしの会 統括施設長:成田 修

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