セミナー「創作環境を整える」「発表の機会をつくる」

1月17日、18日に奈良障害者芸術活動支援事業のセミナー「創作環境を整える」「発表の機会を作る」が開催されました。両日とも福祉従事者を中心に多くの方が集まってくださいました。

1日目の最初の講師にはやまなみ工房の副施設長である早川弘志さんを迎え、「なぜ芸術活動を行うのか」というテーマでお話しいただきました。具体的にやまなみでのアート活動の歴史を振り返りながら、どうやって障害のある人の創作に寄り添ってきたか、そしてその活動の何が面白いのかなど、実感のこもったお話を聞くことができました。掃除や食事などの活動と芸術活動を同じように話す語り口が印象的でした。
二番目は「多様な障害を支える環境作り」をテーマに、アートセンターHANAから藤井克英さんと佐藤拓道さんが、それぞれの障害のあり方に寄り添いながら活動していく工夫をお話ししました。いわゆる創作の時間と思われている時間以外の部分でどういったサポート、ケアができるのかということが創作に何かしら結びついている、ということが重要なポイントだったように思います。
1日目の最後にはたんぽぽの家でもメンバーとのダンスプログラムを行っているジャワ舞踊家の佐久間新さんにお越しいただきました。たんぽぽメンバーと一緒に体を動かしながら参加者全員で体を動かすコミュニケーションを体感しました。その後また、映像を見ながら、共にダンスをする中でどんどんお互いが変わっていく面白さについても話し合いました。
いずれも「アート」や「ケア」という枠組みにとらわれることなく、どちらともつかないような相互に含みあう実践の紹介だったのではないでしょうか。

二日目は、アートセンターHANAの吉永朋希さん、Port Gallery Tの池崎多佳子さんを講師に、展示や展覧会、販売など作品や作家を発信していくことについてのお話でした。施設での作品制作を支えている吉永さんと展示する場を主催する池崎さんとの立ち位置の違いによって多角的に展示という行為を観ることができた一方で、展示によって制作者を支える姿勢やその喜びといった根本的な部分では共通するものがあったように感じられました。お二人とも決して単に裏方になるのではなく、自分が美しいと思ったり面白いと思ったりしたその感覚を十分に展示に活かされており、展示というものが製作者と支援する人の共同作業なのだということを強く感じさせてくれました。

講師の皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。

(レポート:「セミナー」スタッフ 菊竹智之)

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