第三回著作権セミナーをたんぽぽの家アートセンターHANAにて開催しました。
今回は二次使用・商品化編ということではじめに、障害のある人がアートを仕事にしている環境としてエイブルアート・カンパニーを例に、運営しているたんぽぽの家スタッフより作品を広告や商品のデザインに活かす事で仕事につなげている流れや、これまでの使用実績の説明、企業やクリエーターとのコラボレーション製品などの紹介がありました。
そしてエイブルアート・カンパニーのグッズ製作に大きく関わりのある大手通信販売会社フェリシモより芦田晃人さんにお越し頂き、フェリシモで障害のある方と共に行われている活動ccp(Challenged Creative Projrct)についての紹介をしていただきました。
ここで言うチャレンジドとは、「挑戦というチャンスを与えられた人」という意味を込めて、社会参加しようとしている障害を持つ方たちの事で、障がいのある人の個性や能力を生かす商品をつくられているプロジェクトであり、その製品はフェリシモのカタログやインターネットを通じて販売されているとのお話でした。
その際に交わしている福祉作業所との契約内容には、その企画での使用目的以外に別の企画では使用しない事や、納品期日についてなど細かい確認事項がある事を教えていただきました。
しかし契約を交わしていても起こってしまう問題があり、基本的には契約が守られなかった場合、誠意をもって協議されているとの事でした。
アート作品の二次使用としての使用実例の契約についても、エイブルアート・カンパニーとの契約書を用いて紹介いただき、収益と支払われる対価との関係は、商品内容、生産数、価格によって様々でその都度交渉されおり、そして契約期間内で完売できなかった場合は在庫の販売も交渉されていくとのお話でした。
契約を交わす双方にとって良い契約内容にする事は、様々な計算が必要でお互いの歩み寄りも必要という事がわかりました。
そして弁護士の田中啓義さんより、
憲法13条 著作者人格権、誰しもがもっている人権をどう保障していくのか、施設側は著作者となる利用者を守らなければならず、制作者の幸福追求の為にアートを広げていく必要性がある。だから作品が生み出されている限り、それを発表していかなければいけない。
著作物には独占的使用と非独占的使用があり、両方のメリットとデメリットを把握した上で、どちらを選択するか考える指針はやはり著作者の幸福追求権であり、本人への意思確認が一番大切とのお話でした。
参加者の方から実際に著作権を侵害される可能性がある状況の方のご相談があり、その方へのアドバイスされた後、施設側は利用契約書を見られるようにする事で利用者は選びやすくなるというお話がありました。そして弁護士に相談する時に費用の負担額が気になって躊躇される方が多い現状に対して、法テラスという無料で法律相談が受けられる制度の存在をお話してくださり、気軽に弁護士事務所に相談に来てくださいとの心強いお言葉をいただきセミナーは終了しました。
知ろうとする姿勢や、相手の意志確認が大切と改めて感じました。
(レポート:「障害のある人のアートと著作権に関するセミナー」スタッフ田中清佳)