2015年9月に行った、近畿大学医学部奈良病院での展示「’Art with message’」。
監修者として、展示計画・デザイン担当者として、病院のスタッフとして、今回の展示に関わってくださった方々より、短いレポートをいただきましたので、ご紹介します。
まずは、監修の森口ゆたかさんのレポート。
「’Art with message’を監修して」 森口ゆたか
今回の展示は小さい規模のものでしたが、 病院でこの展示をご覧いただいた方々の反響は予想以上に大きく、展覧会に関わった私達を喜ばせるものでした。監修にあたり気をつけた点は、病院の通路という場所柄、絵の前を通る人達に明るい気分を促すようなカラフルな色彩、グラフィック的にも優れた作品を選出しました。額縁に飾ると如何にも作品然としてしまうので、小さなイーゼルに一点ずつ作品を設置し、作者からのメッセージボードも作品の横に取り付けました。更にこの展示を観た人々が、その感想を落ち葉型のメッセージカードに記し、それらが作品の背後の窓面にランダムに貼り付けられた為に、この場所は双方向性のアクティブな展示空間となりました。普段はただ通過するだけの通路が障害のある人達のアートによって、コミュニケーションの祝祭広場になりました。
写真:衣笠名津美 / Natsumi Kinugasa