ここのところお知らせが続いているこちらのウェブサイトですが、本日はレポートをご紹介します!(文、写真/大井卓也)
先日、京都・丹後エリアで開催されている「TANGOまるっぽ美術館2024」の企画、”まちの美術館”にお邪魔してきました。
まるっぽ美術館とのつながりは今年の8月。私たちの相談窓口に、このイベントを企画・運営しているみねやま福祉会さんより、企画の内容に関してご相談を受けたことがきっかけでした。その際には作家さんとのやり取りや展示の企画に関して簡単なご助言を行わせていただいたのですが、いよいよイベントがはじまるということで、現地に足を運びました。
“TANGOまるっぽ美術館”は2022年からスタートした展覧会イベントで、令和 3 年度に京都府主催で開催された『CONNECT⇄_つながる・つづく・ひろがる』の府域展開事業『CONNECTーEXPAND』(丹後エリア・宮津会場)でのトークイベント「障害のある人の表現の場をひらいてつなぐ」から生まれたそうです。丹後地域の福祉施設や作家が集まり、さまざまな会場で展覧会やワークショップなどのイベントが行われていますが、3回目となる今回は新たな取り組みとして”まちの美術館”の名のもと、さらに多様な会場での展示が行われていました。
1番目に向かったのは与謝野町にある「かや山の家」。福知山で少し用事があったため、そこから車で1時間。どんどんと山深くなる道を進み、小高い山を登った先に突然、日本家屋風の素敵な建物が現れました。
もともとは林間学校だったというこちらの建物、現在はリノベーションされ、オシャレなレストランも併設された宿泊施設になっています。この会場ではそんな風情のある空間に溶け込むように作品が展示され、建物全体を楽しめるような展覧会になっていました。
林間学校で使われていたであろう学習机をつかったり、建物の建具に沿って作品が吊るされたりと、見せ方にも色々な工夫が。
個人的に気になったのはゆうひさんの作品。一見すると抽象画のように見えるカラフルで幾何学的な作品ですが、よく近づいてみるとどうやら塗り絵の下絵のような、動物やキャラクターの線が見えてきて、何かのイラストに着彩したものだということが分かります。
各会場には手づくりのスタンプが置かれ、全部の6つの会場をスタンプラリーで巡れるようになっていました。スタンプを三つ集めるとステッカーがもらえるそう。
そこからさらに車で30分ほど、山から海に向かって走り、宮津にある「浜町ギャラリー」を目指しました。木々が開けると眼前には天橋立が広がり、おぉー!と思っているうちに宮津の歴史ある建物の間を走り抜け、すっかり観光気分でドライブを楽しみました。
浜町ギャラリーは、海辺に立つショッピングモール「宮津シーサイドマート ミップル」のなかにあります。同建物の中には福祉・教育総合プラザや図書館もあり、市民の交流のセンターになってるようで、その一角のギャラリースペースがありました。
先ほどとは打って変わってホワイトキューブの展示。ここではイベントのメインビジュアルにもなっている川村昇代さんの作品を中心に、絵画や陶の作品など多様な作品が展示されていました。
雑誌の1ページのように有名人のイラストやテキスト、日付が裏表にびっしりと描きこまれたハルオさんの作品も、アクリルに挟んで両面から見られるようになっているなど、ここにも細かな見せ方の工夫が。
そこから10分ほど走り、イベントの事務局を務めるみねやま福祉会の施設「マ・ルート」へ。
施設に入るとちょうどレクリエーションの時間だったようで、天橋立を臨む絶景のラウンジスペースから、カラオケ大会の賑やかな響きが聞こえてきました。
ここでは駄菓子のほか、法人のノウフク事業や地域の農家さんでつくられた野菜なども販売しており、日ごろから市民が出入りできる空間になっているよう。そんな居心地の良いスペースの壁や柱など、いろいろなところに作品が展示されていました。
まるっぽ美術館を担当されたスタッフのお一人、清水真実さんにお話を伺ったところ、それぞれの会場のみなさんにもとても積極的に関わっていただけたそう。また、ふらっと立ち寄られるお客さんもたくさんいらっしゃるとのことで、”まちの美術館”の目標とされていた、多様な人たちに作品に触れてもらう機会を増やすというテーマにもつながる試みになっていることが実感されました。
このような地域密着型のフェスティバルが地域の福祉団体を中心に生まれていることにも驚きましたが、毎回新たなプログラムにも取り組んでおり、今後の発展や地域内外での連携も楽しみなイベントでした。
“まちの美術館”は11月23日で終了しましたが、11月30日からは”メイン会場”と題し、ウッディいさなご(京丹後市峰山林業総合センター)にて大きな展覧会がはじまるそうです!会期中には似顔絵やライブペイントのイベントなども企画されているそうですので、ぜひ足をお運びください。
まちの中に散らばっていた作品が集結。まちの美術館には飾りきれなかった作品もたくさん!作者の世界観にどっぷり浸っていただけます。
【ウッディいさなご(京丹後市峰山林業総合センター)】
会期:11/30(土)〜12/4(水)
時間:10:00〜16:00(※最終日は13:00まで)
住所:京都府京丹後市峰山町五箇44-1
11/30(土) 10:00~16:00
〇タイムテーブル
・10:00〜11:30
似顔絵コーナー
・10:30〜 ・13:15~
仲間たちの絵画制作ライブ
・13:00~16:00
点字であそぼう!!
(協力:丹後視力障害者福祉センター「あい丹後」)