障害とアートの相談室では、障害のあるなしに関わらず誰もが参加できるアートスペース「オープンアトリエ」を継続して開催しています。企業と連携し、地域を巻き込んだアートの場づくりに取り組んでいます。今年度は、リコージャパン(株)奈良支社さんとの共催で、奈良にて写真を素材としたまち歩き&写真ワークショップ「世間遺産@奈良」を開催しました!
「世間遺産」とは
「私たちの身の回りを見まわしてみると、生活のふとした瞬間や、人とひととの交流の中に、たくさんの大切な風景があることに気づきます。今回のワークショップではそんな風景を『世間遺産(せけんいさん)』と名付け、写真に残してみたいと思います(講師/天野憲一さん)。」
当日、参加者は11ヶ月の赤ちゃんや5歳の子から大人まで、幅広い世代が集まりました。
まずは講師の天野憲一さんから、「世間遺産」や写真についてのレクチャーを受けます。
レクチャーの後は、「100年後も残っていて欲しいことや風景」を探しに、奈良のまち歩きに出発!
小雨の中、のんびりと歩き始めた参加者の皆さんも、カメラを構えるとだんだん真剣な表情に、どんどん夢中になっていきます。
まち歩きが進むうちに、植物をたくさん見つける人、足元をよく見る人、などそれぞれの視点の違いも見えてきました。
「こんな店あったんだ」「なにこれ?」「いつも通り過ぎる通学路が全然違って見える」
参加者のみなさんから、いろんな声が聞こえてきました。
まち歩きを終えた後は、たくさん撮った写真の中から「世間遺産」にしたい1枚を選んで印刷し、参加者同士で発表します。じっくり迷う人もいれば、「これ!」と即答する人も。
参加者のみなさんが選んだ写真は、リコージャパンさんが持参したプリンタで大きく印刷されて迫力満点。それぞれ写真にコメントを書き込み始めると、会場が静かな熱気に包まれます。
ワークショップの最後には、一人ずつ撮影した写真を前に「世間遺産」にしたい理由を語ります。他の人の作品に「おぉ〜」と驚いたり、共感したり、会場は大いに盛り上がりました。
「奈良公園に鹿がいる風景」「道端にある測量点」「和菓子」「ラーメンの食品サンプル」などなど、同じ場所を歩いていても、人の数だけ視点が違うことに改めて気付かされます。
カメラやスマホの画面の中から、写真を人前に出して自分の言葉にして伝えると、写真がとても生き生きとして見えてきます。写真とまち歩きを通して、幅広い世代の人々が交流できた温かな時間となりました。
リコージャパン(株)奈良支社の皆さん、講師の天野憲一さん、参加して下さった皆さん、ありがとうございました!
(レポート:プロジェクトスタッフ 玄番佐恵子)