障害のある人のアートの発信に関する連続セミナーを開催します

更新が遅れてしまい申し訳ございません!本日はセミナーのお知らせをさせていただきます。
本年度、障害とアートの相談室では、過去の取り組みをさらに深め、障害のある人のアートの「発信」に焦点を当てたセミナーを開催いたします。
直前のお知らせになってしまいましたが、第1回「アートの販売について考える」は2018年11月24日(土)に開催されます。講師は大阪で障害のある人のアート活動を行っている「コーナス」の白岩高子さんと、「YELLOW」の日垣雄一さん。関西を代表するアーティストを多数排出している両施設ですが、どのように作品を生み出し、そしてそれを販売につなげていっているのでしょうか。実際の事例をお聞きし、障害のある人のアートの販売に関して、考えていきたいと思います。

平成30年度 障害者の芸術文化活動普及支援事業近畿ブロック 研修事業
障害のある人のアートの「橋渡し」を考えるためのセミナー

近年、障害のある人のアートは注目を集めつつあり、さまざまなところで展覧会やイベントが行われています。それにともない、「障害のある人のアートをどう評価していくべきか」、「アーティストの知的財産をどうまもるのか」、「作品をどう販売していくべきだろうか」と、様々なトピックが議論されるようになってきました。これらのアートを取り巻くトピックについて考えていくことは、アート活動を社会に伝えていく方法を整備したり、新たな発信の方法を生み出したりすることつながり、つまり、アートと社会の「橋渡し」を考えていくことになるのではないでしょうか。
障害とアートの相談室では、これまでも障害のある人のアート活動に関わる様々な事柄を取り上げ、深めてきました。本年度はそれらのなかから、特に「橋渡し」をテーマに4つのトピックを取り上げ、議論していくためのセミナーを開催したいと思います。

第1回:アートの販売を考える

作品を見せるだけでなく、売買していくことも、障害のある人のアートを社会につなぐ重要なチャンネルです。そこでは作品の完成度だけではなく、作家の将来性や創作活動の経緯など、様々な視点から作品の価値が決められていきます。また、これらの価値を図り、高めていくことは、アート活動を障害のある人の仕事としていく上で重要な側面でもあります。そこで、実際に作品を生み出し、活発に販売を行ってきた施設の代表を招き、アートの売買に関する取り組みを学びます。

・講師:白岩高子(特定非営利活動法人コーナス代表 )、日垣雄一(株式会社YELLOW代表)
・聞き手:岡部太郎(一般財団法人たんぽぽの家)
・実施日時:11月24日(土)13:30~15:00
・会場:難波神社(大阪府大阪市中央区博労町4丁目1番3号
・入場料:無料

※たんぽぽの家が企画運営を行っている、近畿労働金庫のイベント「ひと・アート・まち」(http://hac.tanpoponoye.org/)の開催会場にて実施します。本イベントでは、障害のあるアーティストの作品展示・販売を始め、様々な催しが行われる予定ですので、ぜひ、あわせてお楽しみください!!

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今後の予定(※詳細は決まり次第お知らせいたします)

第2回:アートのアーカイブを考える

アートの様態が多様化し、有形・無形を問わずいろいろな形のアート作品が生まれている現在、それらをどう保存していくべきか、ということが盛んに議論されています。特に障害のある人のアート活動においては、作品だけではなく、本人の生活スタイルや周囲の人たちとの関係など、それが生まれた環境の中にこそ大切な価値があったり、作品として作られたものではない、日常のふとした営みやふるまいに魅力が見出されることもあります。このような日常との境界が曖昧なアートを取り出し、他者に伝えていくにはどのような方法があるのでしょうか。人々の生活に根ざすアートを、映像等を通じて研究してきた研究者を講師に招き、そのヒントを学びます。

・講師:川瀬慈(映像人類学者、国立民族学博物館准教授)
・聞き手:岡部太郎(一般財団法人たんぽぽの家)
・実施日時:12月21日(金)

第3回:アートの評価を考える

アートを評価するということは、作品の魅力や意義を言葉にし、人に伝えるということであり、「なぜアートが人間や社会に必要なのか」ということを考えていく重要なプロセスです。特に、障害のある人のアート活動は、その作品の芸術的な良し悪しだけでなく、アーティストが歩んできた人生や、その制作の中で生まれた他者との関係性など、作品にまつわるプロセスや生活などの背景も評価の対象となることが多く、多様な価値のはかり方が求められます。そこで、アートのプロセスや社会的コンテクストを含め、幅広い視点から評価や批評を行ってきた評論家を招き、その価値を図るまなざしを学びます。

・講師:椹木野衣(美術評論家、多摩美術大学教授)
・実施時期(予定):2019年2月

第4回:アートにまつわる知的財産について考える

近頃、障害のある人のアート作品をグッズ化したり、デザイン化したりして販売していくような、知的財産の運用によるビジネスが少しずつ生まれてきています。これらの知的財産には「著作権」、「意匠権」など、たくさんの権利や法律、契約などが関わっており、一見すると複雑で堅苦しいものに見えてしまうかもしれません。しかし本来、これらの「知的財産権」は、クリエイターたちの権利を守りながらその表現を世の中に発信していくために整備された権利であり、上手く活用していくことでより効果的に障害のある人のアートを広めていくことができます。そこで、積極的な知財の運用を考え、実践してきた研究者や福祉施設の職員を講師に招き、知財の運用に関する取り組みを学びます。

・講師:藤井克英(GoodJob!センター香芝)+α
・実施時期(予定):2019年2月

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